――放課後。
【颯太】
「平和を噛みしめてたら遅くなったんだよ。
やっぱ平穏無事な生活が一番だってな」
【連二郎】
「でも、こんな日もあるんだね。
トラブルも起こらずに一日が終わるなんて」
【雷太】
「いつもなら必ずと言っていいほど、
何かしらの騒ぎが起こるものなのだが……」
【惣右衛門】
「これも日頃から積み重ねてきた
善行の賜物というものじゃのう」
バタバタバタバタ……!
【みこと】
「いぇーっす、あいあむ!
ミラクルぷりちーでラブリーなシスターが
迎えに来て上げたよ、お兄ちゃん♪」
【颯太】
「珍しいな。放課後にお前がこっちに来るなんて
それにいつもくっつけてる、オプションはどうした?」
【みこと】
「オプション……おお、つっきーのことだね!?」
【みこと】
「我が相棒のつっきーは用事があるとかで、
校長先生の所に行っちゃった」
【みこと】
「うん。
いつ姉やイナちゃん先輩、
サクちゃん先輩も一緒だって」
【連二郎】
「そういえば昼休み、
校長先生が学食に来てたね、雷太」
【雷太】
「うむ、おそらくその時に声をかけたのだろう」
【惣右衛門】
「北里のは亜紀先生と供にしておったからなぁ。
むむむ……考えるとなんだか腹が立ってきたぞい」
【颯太】
「雑用を手伝ってただけだって。
けどツクヨミ、いつき、イナリ、サクヤの四人が
同時に呼び出されたのか……」
【颯太】
「なんでだろうな……。
もう嫌な予感しかしねえんだけど」
【みこと】
「まあ、あの校長先生の呼び出しだからね」
【颯太】
「かと言って、俺達だけ先に帰るってのも……」
【みこと】
「ダメ! 愛しのつっきーを置いてくなんて、
そんなこと、このわたしが認めないよ!」
【颯太】
「だと思った。
ツクヨミとは魂を分けた双子だもんな、お前」
【みこと】
「へっへぇ~~ん!
羨ましいでしょぉ~~♪」
ツンツン
【みこと】
「それにいつ姉だって、お兄ちゃんが
先に帰ったって知ったら悲しんだり、怒るかもよ?」
【みこと】
「いや、むしろ絶対に怒る! 主にわたしが!」
【雷太】
「相変わらず、二人は仲が良いな。
うむ、実に良きことだ」
じぃぃ~~~~。
【颯太】
「……なんだ、このジトっとした視線は?」
【颯太】
「頼む、惣爺。
気持ち悪いから、指咥えてこっち見んな」
【連二郎】
「どうしたの、大久保さん?
そんな自分には決して手の届かないようなものを
妬ましそうに眺めてるなんて……」
【惣右衛門】
「気持ち悪い言うな!
それと二行目以降は全て余計じゃ、藤田の!」
【惣右衛門】
「北里のの周りには、いつものように
八重垣のお嬢やイナリ様、サクヤ様など
数多くのおなごが集まっておる!」
【惣右衛門】
「言うなれば、ぬしはこの世の男子の夢!
はぁれむを築き上げていることに他ならぬ!」
【惣右衛門】
「わしはそれが羨ましくて妬まして、
ここ数年、夜も眠れんかったぐらいじゃあ!!」
【みこと】
「だよねだよねぇ!
まったくお兄ちゃんったら果報者なんだからぁ!」
【颯太】
「ハーレムねえ……。
別にそんないいモンじゃねえぞ、コレ」
【颯太】
「ツクヨミとみことは、いっつもやかましいし。
イナリはイナリでバカ騒ぎを繰り返すし、
いつきとサクヤの仲介には骨が折れるんだぞ?」
【みこと】
「やかましいとは何だよ、お兄ちゃん!
わたしは場の雰囲気を盛り上げてるだけだもん!」
ぽか、ぽか、ぽか。
【みこと】
「お兄ちゃんが謝るまで、叩くのを、止めない!」
【連二郎】
「なんというか……。
ハーレムを持つ男ゆえの悩みだよね、颯太のって」
【雷太】
「しかも悩みという割には、
随分と楽しそうでもあるな」
【惣右衛門】
「口惜しや恨めしや妬ましやぁぁあ……!」
【連二郎】
「お、大久保さんが血の涙を流してる!
これは不吉なことが起こるかも……!!」
ボカーン! ドカーン! ガシャーン!!
【みこと】
「今の悲鳴、野太かったけど、
どっかで聞いたあるような気がー……」
ピシャーン! ドシャーン!
【連二郎】
「ま、まさか嫉妬に狂った大久保さんの怒り……!?」
ボカーン! ピシャーン!
バタバタバタバタ!
【颯太】
「なんでぇ、ボロボロじゃねえか!
どうしたんだ、おい?」
【ツクヨミ】
「お願い!
あたしと一緒に来て、そーた!」
【ツクヨミ】
「事情なら後で全部説明するから!
早くしないとイナリ達が……!!」
【颯太】
「いててててて!! 腕引っ張んなって!
まずは状況を説明して……!」
ドタドタドタドタ!
【ツクヨミ】
「ちょっと、イナリ!
横から突っ込んでこないでってば!
そーたはあたしと一緒に行くの!」
【イナリ】
「な、なに言ってるのよ。
颯太はあたしと一緒に来るの!」
【イナリ】
「ね、ねえ……そ、そうでしょ、颯太?」
【ツクヨミ】
「そーたはあたしと一緒に行くの!
ねっ、ねっ? そーでしょ、そーた?」
【みこと】
「つ、つっきーとイナちゃん先輩が
お兄ちゃんを取り合ってる!?」
【雷太】
「そうなのか?
拙者には切羽詰まったように見受けられるが……」
【惣右衛門】
「うぐぬぬぬぬぅぅぅ……!!
なぜ北里のばかりぃぃいいぃぃ!!」
ズシィン……!
ズシィン……ズシィン……!
【雷太】
「むっ、むぅぅ……、
なんという強大な力だ……!!」
ズシィン……ズシィン、ズシィン、ズシィン!
【みこと】
「いつ姉に、サクちゃん先輩ッ!?
ま、まさか……!!」
【いつき】
「なにも言わずに、私についてきなさい!」
【サクヤ】
「なにも仰らずに、わたくしについてきてくださいまし!」
【連二郎】
「な、なんだか凄い火花を散らしてるね」
【みこと】
「や、やっぱり!!
いつ姉にサクちゃん先輩までお兄ちゃんを!?」
【イナリ】
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、二人とも!
わたしが最初に颯太を誘ったんだからー!」
【ツクヨミ】
「違うよ! あたしだよ!
そーたはあたしのだもん!」
【いつき】
「弟はお姉ちゃんの言うことを聞くものよ。
さあ、早くおいで」
【サクヤ】
「お願いします!
もう颯太さんだけが頼りなんです!」
グイッ、グイッ、グイ~~~!!
【颯太】
「ま、待ってくれ! とりあえずまずは話を……いでで!
ああぁっ、千切れる! 体が千切れちまうって!」
【雷太】
「ふむ……藤田殿。
もしや、これが『修羅場』というものなのか?」
【連二郎】
「そうだよ、雷太。
いつかこんな日が来るとは思ってたけど……」
【惣右衛門】
「おのれおのれおのれぇぇええ……!
わしにも一人くらい分けてくれぃ、北里の!」
【颯太】
「お前ら、バカ言ってねえで、止めてくれよ!」
【颯太】
「いっ、一体何が起こったってんだぁぁああぁぁああ!?」
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