【梓乃】 |
「え、えと、『本商品付属の武器セットには ABCマントは含まれません。 別途“みやびちゃん武器セット・アサルトヴェール”を お買い求めください』っと……」 |
カタ、カタカタカタッ |
【殿子】 |
「梓乃、そんなしてキーボード打ってたら指が痛くならない?」 |
【梓乃】 |
「何事も慣れです、殿ちゃん」 |
【みやび】 |
「そこっ! バイト代出してるんだから無駄口きかない!」 |
【梓乃】 |
「あうぅっ」 |
【殿子】 |
「ごめん、みやび」 |
【みやび】 |
「リーダが研修で居ないんだから、 ちゃんとやってくれなくては困るぞ! 梓乃はそのままパンフレット作成! 殿子はボタンの設置は終わったのか?!」 |
【殿子】 |
「うん」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
カチンカチン |
『みやびちゃんぷりちー! みやびちゃんぷりちー!』 |
【殿子】 |
「でもみやび、こんなボタン付けてどうするの?」 |
【みやび】 |
「なんでも四六時中あたしを誉め称えたいという、 下僕どもの真摯な忠誠に答える為に設置する事になったらしい。 結構な事だ」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「押す度にあたしの愛らしい声と、 そして自分自身の忠誠心を確かめられる訳だ。 双方向性という現代のニーズに即した、素晴らしいシステムだ」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「この分だと、あたしの世界制覇はもう目の前だなっ!」 |
【殿子】 |
「………そう。それは良かった」 |
【梓乃】 |
「あ、あのあの、リーダさんから、これを預かっているんですけど!」 |
バサバサ |
【みやび】 |
「何だ梓乃、人が折角良い気分に浸っているというのに」 |
【梓乃】 |
「あの、リ、リーダさんは放送がどうのって仰ってました」 |
ポム |
【みやび】 |
「ああ、そうだったそうだった。 また相談事が溜まって来たとか来ないとか言ってたな」 |
【殿子】 |
「じゃあ放送する?」 |
【みやび】 |
「うむ。やってくれ」 |
【殿子】 |
「了解。ではポチっと」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【殿子】 |
「……違った。こっちのボタンだった」 |
カチン |
……………… ………… …… |
ぱっぱらっぱらっぱっぱ~♪ |
【みやび】 |
「みやび!」 |
【殿子】 |
「……殿子」 |
【梓乃】 |
「し、梓乃のっ」 |
【みやび・殿子・梓乃】 |
おしえて人生相談! |
どんどんどんどんぱふぱふぱふ |
【みやび】 |
「今日はリーダが後進の指導で研修に出かけているので、 殿子と梓乃がアシスタントを務めてくれる」 |
【殿子】 |
「よろしく」 |
【梓乃】 |
「や、八乙女梓乃ですっ、お願いしますっ」 |
【みやび】 |
「あまり緊張するな。こんなもん適当にやっておけば良いんだ。 どうせろくでもない奴らが―――」 |
【殿子】 |
「そういう態度は良くない」 |
ギュゥゥゥゥゥ |
【みやび】 |
「イタッ、いたたたたっ、ほっへたをひっはるらっ!」 |
【殿子】 |
「聞いている人に失礼だから」 |
【みやび】 |
「わはった、わはったからはなせ!」 |
【殿子】 |
「解れば良い」 |
【みやび】 |
「いたたたた。んもー、殿子はすぐに手が出るんだから……」 |
【殿子】 |
「みやびがちゃんとしないのがいけない」 |
【梓乃】 |
「……あの、先に進めなくて良いんでしょうか?」 |
【殿子】 |
「ん。梓乃、読んで」 |
【梓乃】 |
「はい。それでは」 |
ゴソゴソ |
【梓乃】 |
「1枚目は、東京都にお住まいの『てつろー』さんからのお便りです」 |
【梓乃】 |
『こんにちは、麗しきリーダ様とかわいらしきみやび様。 さっそくですが質問があります。 住まいは東京を仮ということで選んだのですが、 実は今海外の大学に留学中の身です。 やはり海外なので言語の壁があり 思うように現地人と交流を深められません。 人の心を掴むのが得意なみやび様、 この愚かな悩みについての解決法を 伝授してはいただけないでしょうか??』 |
【殿子】 |
「珍しくちゃんとした質問みたい。みやび、お願い」 |
【みやび】 |
「……んー」 |
【殿子】 |
「どうしたの?」 |
【みやび】 |
「言葉が通じないってのは、何か困る事なのか?」 |
【梓乃】 |
「え、えっと、わ、わたしは、困る気がします」 |
【みやび】 |
「外国語がしゃべれないなら、 向こうに日本語を覚えさせるぐらいの気構えでいけ」 |
【殿子】 |
「気構え?」 |
【みやび】 |
「そうだ。通じないから話さないという情けない発想は捨てる事だ。 外国語が通じようが通じまいが、ともかく話せ。 コミュニケーションを取ろうとしている姿勢を見せない事には 何も始まらん。 まずお前に必要なのは語学力じゃない。 溢れんばかりの気迫と勇気だ!」 |
【梓乃】 |
「で、でも、結局それでは言葉は通じませんよね?」 |
【みやび】 |
「それはそうなんだがな。 だが語学力はそうしていればいずれ身に付く。 しかし交流というものは言葉が通じるようになったからといって すぐに成立するものではない。 やはり積み重ねというものが必要になる」 |
【みやび】 |
「解ったか、『てつろー』とやら。喋れなくとも交流は始めておけ。 ……まったく最近の若い奴らはすぐに 言い訳や逃げ道を用意したがる。 もっと前向きにいけ! 前のめりに死ねと何度言わせれば気が済むのだ!!」 |
【殿子】 |
「…………」 |
【みやび】 |
「何だ、殿子」 |
【殿子】 |
「みやびが真面目な事を言っているから驚いてる」 |
【みやび】 |
「あたしはいつだって真面目だ!」 |
【梓乃】 |
「わ、わたくしも少し……」 |
【みやび】 |
「おまえ達はあたしの事を何だと思ってるんだ!!」 |
【梓乃】 |
「その…………、怖い人です……」 |
【殿子】 |
「ワガママ放題、やりたい放題」 |
【みやび】 |
「おのれー、好き勝手言ってー!!」 |
【殿子】 |
「それでは次のお手紙」 |
【みやび】 |
「くぉらー! 殿子聞けぇー!!」 |
【殿子】 |
「千葉県にお住まいの『祭囃子』さんからのお便り」 |
【みやび】 |
「無視すんなー!!」 |
【殿子】 |
『自称Cカップで凛々しくぷりちーなみやび様こんにちわ 私の悩みをきいていただけますでしょか 悩みというのは私のあだ名の話なのですが…… いろいろとあだ名はあるのですが ほとんどがろくでもないものばかりです そこでみやび様にハイセンスなあだ名を 考えていただきたいのですが…… 特徴 性別・雄 好みの女性のタイプ・みやび様 あとは直感でドウゾ Ps.やっぱBくらいだとおもうなぁ……』 |
【みやび】 |
「ミジンコッ! 終わりっ!」 |
【梓乃】 |
「……あのぅ、八つ当たりですか?」 |
【みやび】 |
「うるさいっ!」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「……何のつもりだ?」 |
【梓乃】 |
「あ、あの、これで機嫌を直して頂けないものかと」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「……もういいから次へいけ次へ」 |
【梓乃】 |
「は、はいっ! 兵庫県の『柊ねこ』さんからのお便りですぅっ!」 |
【梓乃】 |
『聖母マリアの如く慈愛とナ●スの如く独裁を地でいく みやび様に相談です。 人を好きになるというのはどういうことなのでしょうか? 恋人が欲しいのに、 それが分からないのでにっちもさっちもいきません。 大人で経験豊富なみやび様、 どうか私めにお救いの手を……っ!』 |
【みやび】 |
「またどうでもいい相談が来たなぁ………」 |
ギュウウウウ |
【みやび】 |
「いたっ、いたたたたっ、わかった、わかったってばっ!」 |
【殿子】 |
「じゃあちゃんと答える」 |
【みやび】 |
「痛いなぁもう……」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「梓乃ォ! それはもうええっちゅうに!」 |
【梓乃】 |
「す、すみませんつい……」 |
【みやび】 |
「まったくどいつもこいつも……。人を好きになる、か。 よろしい『柊ねこ』とやら、まずあたしに忠誠を誓え。 決して揺るがぬ鋼の忠誠をだぞ?」 |
【殿子】 |
「それでどうするの?」 |
【みやび】 |
「決まっている。こき使うんだ」 |
【殿子】 |
「それに何の意味が?」 |
【みやび】 |
「つまりだな、身を粉にしてあたしの為に働けば、 身も心も疲弊して女に逃避するようになるだろう。 さすればおのずと答えも出よう。 そうだな、さしあたって裏の鉱山で強制労働からだなっ♪」 |
【殿子】 |
「それは何か違う気がするけど」 |
【みやび】 |
「いいんだ。ん? 梓乃、何か言いたそうだな」 |
【梓乃】 |
「…………」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「解って来たじゃないか、梓乃」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「では次。4枚目の手紙だな。岐阜県の『呂布』だそうだ。 いかがわしい名前だなぁ……」 |
【みやび】 |
『こんばんは。
私は天下の猛将と呼ばれた者なんですが、 私にも苦手なものがあるんです。 苦手なのは幽霊です。もう本当に恐いです。 なにかいい手はありませんか?』 |
【みやび】 |
「梓乃、怖がりのエキスパートのお前に任せる」 |
【梓乃】 |
「わ、わたくしですかっ?!」 |
【みやび】 |
「適任だろう?」 |
【梓乃】 |
「と、殿ちゃぁん!」 |
【殿子】 |
「頑張って、梓乃」 |
【梓乃】 |
「あうぅぅ…………。に、苦手な物に出会ってしまった時は……」 |
【みやび】 |
「ふんふん、出会ってしまった時は?」 |
【梓乃】 |
「迷わず全力で逃げますっ!」 |
【みやび】 |
「…………。だ、そうだ。『呂布』とやら、逃げ足を鍛えるが良い」 |
【殿子】 |
「それで良いの?」 |
【みやび】 |
「良くはないが、なんかドッと疲れたからこれで終わりにしよう」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
……………… |
………… |
…… |
【みやび】 |
「という事で今日は終わり」 |
カリカリ |
【殿子】 |
「じゃあみやび、今日の総評を」 |
【みやび】 |
「ええと、みんな人に頼らず自分で何とかしろ」 |
【殿子】 |
「このコーナーを否定しないで」 |
【みやび】 |
「……だってもう飽きたんだもん」 |
【殿子】 |
「そう」 |
カリカリ |
【みやび】 |
「そういえばさっきから何を書いてるんだ?」 |
【殿子】 |
「報告書。リーダさんがみやびの言動を記録しておけって」 |
【みやび】 |
「なっ、なにぃぃぃぃぃぃ!?!?」 |
カリカリ |
【殿子】 |
「『みやびはこのコーナーに飽きて止めたいと―――』」 |
【みやび】 |
「あー、ウソウソ! 嘘だってば! あたしこのコーナー大好きだから! うんっ!!」 |
【殿子】 |
「本当に?」 |
【みやび】 |
「うんっ。いやー、今日も有意義な時間だったなあ!」 |
【殿子】 |
「ふーん」 |
カリカリ |
【梓乃】 |
「じゃ、じゃあ、元の仕事に戻っても良いですか? その、まだパンフレット出来てないんです」 |
【みやび】 |
「ん。よかろう。そのようにせよ」 |
【梓乃】 |
「はいっ」 |
カタ、カタカタカタッ |
【梓乃】 |
「……そういえば殿ちゃん、このABCマントってなんなんですか?」 |
バサ |
【殿子】 |
「ええと、この資料にはアンチバストカモフラージュマントって書いてある」 |
【梓乃】 |
「アンチバスト……?」 |
【殿子】 |
「良く解らないけど、注釈は『えぐれ胸を隠せるマント』ってなってる」 |
【梓乃】 |
「……え、えぐれ!?」 |
【殿子】 |
「うん。『たっぷりした布地が胸元を覆い、 彼女の控え目な胸をそれなりにあるかのごとく オリジナルに忠実な繊細なディティールを完全再現!』だって」 |
【梓乃】 |
「たっぷりした布地が胸元を覆い……」 |
【殿子】 |
「……彼女の控え目な胸をそれなりにあるかのごとく演出します……」 |
【みやび】 |
「な、なんだ2人ともその目は!?」 |
カチン |
『みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「やめろっ、あたしをそんな目でみるなっ!! あたしを憐れむなぁーーーっ!!」 |
カチンカチン |
『みやびちゃんぷりちー! みやびちゃんぷりちー!』 |
【みやび】 |
「うわーん、リーダーっ、殿子と梓乃があたしをいぢめるんだーっ!!」 |
ダダダダダダッ、ギー、バタンッ |
【みやび】 |
『リーダーっ!!』 |
ぷつんっ |
ぷーぷーぷー |
不定期連載『みやびとリーダの
教えて人生相談!』
投稿フォーム 投稿フォームの受付は終了いたしました。 これまでたくさんのご相談を頂き、誠にありがとうございました。 頂きましたメールは、焼き芋にしておいしく…… ゴホン、ゴホン! 大切に保管させて頂いております。 |